わたしのおとこ

ずっと読みたいと思って、昨日古本屋で安売りしてたんで速攻買って速攻読みました。哀しい話でした・・・でもあまりにも筆力があって、どんどん読ませてどんどんはまらせてくれました。本当に夢中になって読んだ。面白かった。でも、なんだか本当に可哀想で哀しくて切なくてぎりぎりと胸を切られて血がどくどく流れてるみたいな話で、かなり落ちました。そのせいで悪夢なんか見ちゃったんだろうか。
以下色んな感想とか。ネタバレアリ。
まあなんといっても、ジョウゴがあまりにもカッコよすぎるということなんです。血を分けたただ一人の娘を死ぬほど好きで、好きですきですきで、当時出合ったばかりの9歳の子とやっちゃうよな鬼畜なのに、私はジョウゴがあまりにも好きすぎです。この人だってめちゃくちゃ男前で、すごいもてて女になんか全然困ってないのに、誰のことも好きになれず欲しくもなくて、大事でもなくて、心の中は真っ黒でぽっかりと何かが欠如してて、ただ一人、娘の花だけがその中に入れる。哀しい人生すぎて、そりゃあぼろぼろにもなるよ、って思う。ジョウゴはただ辛かっただけなんだろうと、そして、孤独すぎてもう誰も入れられなかったのに、ただ一人の娘が手に入ってしまって、自分でも分からないくらいに大好きで狂ってしまって、その悲しみを孤独を真っ暗闇を娘に渡してしまったのだ。
普通ならどっかでセーブできるのに、もう心がぼろぼろなジョウゴはそれが出来なかった。そして、娘の花もまた、どうしようもなく孤独で。そりゃあ、お互い死に物狂いでしがみつくだろう。
大変申し訳ないですが、私はこんな二人を引き離そうとした大人の常識が一番憎いです。べつに、他の誰にも迷惑かけてないんだったらいいじゃないっていうのよ。そのまま二人が沈没したって、死ぬまで骨までしゃぶって生きてたいんだったらそれでいいじゃないっていうね。
だって、お互いしか大事じゃない、心にも入ってこないんだったらしょうがないじゃない。
で、も、
この話の何が哀しいって、最初の出会いはどっちかって言うと救いだったんだよね。それが、最後の別れではもうヘドロみたいにどろどろで、お互いにものすごく好きでどうしようもないのに、もう何をどうしたらいいかわからなくなってるんだ。
しかも、作者さんの素晴らしいところは、時代をさかのぼって書いてくところですね。最初が花の結婚(=二人の永遠の別れ)から始まって、どんどん若い頃の話になってく。真っ暗のところから光のある方に。だから、絶望的な話なのに、どんどん読ませていく。すごい。天才だ。最後の章の出会いのところなんて、その前の段階でもう苦しくて哀しくて辛いのに、二人は救われてて。もう、すごい切ないです。まあ、ちょおえろいんですけどね。いやあ、えろですけどね。はい。それも全然気にならなくってっていうか、そこがすごい大事で、ああ、コミュニケーションなんだなって。話すよりもっとずっと分かっちゃうんだろうなって思うわけです。
今日は仕事中もずっとジョウゴのこと考えてて。映画化したらジョウゴは絶対トヨエツだよな・・・とか。花は超むずかしいな・・・とか。つうか、これやってくれる9歳の女の子はいないから絶対に映像化は無理だな、とか。
あと、この話、アーシアンっていう私の大好きなマンガの中に出てくるセラフィムとエルヴィラみたいだ・・・ってちょっと思った・・・泣ける・・・